願叶七宝

2016/12/01 著

_序章_

願叶七宝…
それは世界の平和の象徴であり「神の絶対なる加護」の塊。
七つある宝石はとある様々な伝承から巷の人々の間ではこう唱えられていた。
『集めれば願が叶う』と…_____
とはいえ、この宝石を野放しにするなど世界の平安を願った神は許しはしない。
幾度となく宝石を狙う者達を返り討ちにしては宴を催し民へ労う繰り返し。
平穏はこれからも続くと誰もがそう思っていた。
だが…____

「どういうしてこの様な事に…」
打ちひしがれ、ただただ落胆し蒼白な顔をする少女が一人ぽつりと世界を見下ろした。
周囲にはズルッと触れれば溶けて消えてしまいそうな暗く深い闇が取り巻いている。
「世界は、平和は確かにそこにあった…何者も悲しまず、悪しき者でも生きていけるような…闇は悪ではなく休息だと、そう語らえたはずなのに…」
見下ろす世界は赤い炎に包まれて、慈愛の自然に囲まれた森は跡形ものなく焼き払われていた。
「唯一の、居場所が…」
ポロリとこぼす涙は大地に大雨を降らせ炎を沈め霧と化した。

闇はただあるだけで悪とみなされる。
悪は闇を好み光を嫌う。
眩しい光から目を背ければそこにはいつでも闇がある。
そう、闇はどう足掻いても悪なのだ。
逃れることのできない暗示のように、闇は悪から逃れることなどは出来ない。
そう信じるのは「闇の悪を信じる者」。
『さぁ、闇は世界を喰らい人々を慄かせ、平穏の帳を赤き復讐の炎へと変えて逝け』

只人には聴き取れぬ言葉を使役し襲い掛かるは隣町。
『泣け、喚け!そして恐怖するがいい!闇は悪、絶対の悪だ!』
「やめろ、やめてくれっ!」
『ハッハッハッハッ!平和に呆けた脳が久しく動く時だ。貴様の「その恐怖」存分に振るうがいい!』

「そう簡単に義姉様を壊させやしませんわ」

キンッと時間が止まり張りつめる。
「…なんだ蛭子神。これはこれは、こんな処までしゃしゃり出るとはな」
「イカれた脳みそをお持ちなのは知っていましたけれど此処までとは思いませんでしたわ。闇使い」
蛭子神と呼ばれた紫の髪の少女は蒼白な顔で闇に包まれ怯える少女を抱けばそのまま姿を眩ませた。

『闇使い、とは久々に言われたな。幾分と”平和”の為にと隠した異名。しかし、それでは俺の存在はないも等しい。そう、闇は悪でなければならんのだ…』
一人霧に呑まれ残された言葉は、世界の平穏を少しずつ削っていくこととなった。

引用元:https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=7533484